『信長と将軍義昭』
-連携から追放・包囲網へ-
谷口 克広 著 |
中公新書 刊 |
2014年8月25日(初版) |
評 価 |
谷口克広氏は、1943年北海道室蘭市生まれ。横浜国立大学教育学部歴史学科卒業。横浜市役所勤務などを経て東京都教職員。港区立港南中学校教諭。岐阜市信長資料集編集委員会委員。専攻は日本戦国時代史。 本書は、織田信長の後ろ盾で将軍になった足利義昭は、無力な傀儡にすぎなかったのか。強烈な個性を放つ二人のせめぎ合いを鮮やかに描く。各地を流浪した足利義昭は、一五六八年、織田信長に奉じられて上洛し、宿願の将軍職に就いた。長らく傀儡にすぎないとされてきた義昭だが、近年では将軍として行使した政治力が注目されている。京都から追放された後でさえ、信長に対抗できる実力を保持していた、とする説もある。上洛後の信長と義昭は果たしてどのような関係にあったのか。強烈な個性を放った二人が、連携から確執、対立へと至る過程を詳述する。というもの。 織田信長家臣研究の一人者である谷口氏による書。 足利義昭の基本書には奥野高廣博士『足利義昭-人物叢書-』があるが、本書はそれに勝るとも劣らない好著である。 読みやすく分かりやすい(格好のつけていない)谷口氏の名文で、信長と義昭の関係が非常によく理解できる良書。戦国史に興味があれば熟読したい一冊である。 著者曰く |