『信長と家康』
-清須同盟の実体-
谷口 克広 著 |
学研新書 刊 |
2012年1月31日(初版) |
評 価 |
谷口克広氏は、1943年北海道室蘭市生まれ。横浜国立大学教育学部歴史学科卒業。横浜市役所勤務などを経て東京都教職員。港区立港南中学校教諭。岐阜市信長資料集編集委員会委員。専攻は日本戦国時代史。 本書は、信義なき戦国時代であっても数多くの同盟が結ばれている。そして、ほとんどが数年後に破棄されているのだ。事情が変われば信義などない。それが戦国の常識だった。ところがその常識がくつがえる現象が一つだけある。信長と家康との間に結ばれた「清須同盟」である。なぜにこのような奇跡とも呼べる現象は起こったのか。いったいこの二人の間にはなにがあったというのか。信長と家康―真の清須同盟の実体に迫る。というもの。 表裏比輿の戦国時代にあって、なぜ「清須同盟」が21年間も続いたのか?について解説されている本である。織田家・松平家の勃興から、本能寺の変、小牧・長久手合戦あたりまでが記されている。 しかし、詳しい推考が要所要所でなされており、史料に基づいた信頼の置ける一冊である。書き振りも読みやすく一気に読破できる。 なお、本能寺の変については、光秀単独説を否定しておらず、最も可能性の高い原因として”四国問題”を挙げられている。 |