城が見た合戦史

 天下統一の野望をかけた城をめぐる攻防

 

二木 謙一 監修

青春出版社 刊
204ページ

2002年11月15日(初版) 667円

評 価
★★

監修者は、1940年(昭和15年)東京生まれ。1968年國學院大學大学院日本史学専攻博士課程修了。國學院大學助手、國學院大學日本文化研究所研究員を経て、國學院大学教授。現在、同名誉教授。
NHK大河ドラマの風俗考証を担当し、『
長篠の戦い』『関ケ原合戦等、戦国時代に関する数多くの著書もある。

本書は、戦国時代の著名な合戦にまつわる城での戦いを記述したもの。

石神井城の戦いから始まり、小田原合戦、武蔵松山城の戦い、吉田郡山城の戦い、月山富田城の戦い、河越城の戦い、戸石城の戦い、厳島の戦い、三方ケ原、小谷長篠七尾信貴山八上、三木、高天神、鳥取高遠、関ヶ原、大坂の陣など、多岐に亘る合戦を収録している。

それだけに、それぞれの記載内容は簡素で、概要を知るのみである。記述は通説に従ったものであり、どこまで史料を検討したのかは不明である。

例えば、戸石城の合戦でも、
「戸石城は(中略)北端の押さえに「桝形」が置かれ、城の西側の頂には狼煙台の役目もした米山城が支え…」
と書かれている。しかし、その出典・根拠は明らかではない。米山城が狼煙台だったと断定できる遺構も残されていない。

またこれに続く川中島の戦いも、従前の通説を羅列し、『甲陽軍鑑』の説をそのまま鵜呑みにしている。

したがって、戦国史の参考書といった位置づけ程度のものであろう。

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城と古戦場