『北の関ケ原合戦』

北関東・東北地方で戦われた「天下分け目」の前哨戦
 

中田 正光、三池 純正 著

洋泉社 刊

2011年2月7日(初版)
237ページ 2,286円

評 価
★★★★

中田 正光(なかだ まさみつ、1946年-)は、城郭研究家。三重県生まれ、青山学院大学文学部教育学科卒業。全国の中世城郭址を実地調査し、特に武田氏、北条氏の城郭を研究している(『Wikipedia』)。東京都八王子市丸山町在住。東京都秋川市の小学校に勤務した。『埼玉の古城址』『秩父路の古城址』『戦国武田氏の城』など、一部の城郭ファンに”名著”と評される文献を発表されている在野の城郭研究者。

三池 純正氏(みいけ よしまさ、1951年-)は、日本の歴史研究家。 福岡県生まれ、工学院大学工学部卒業。「海津城について」で郷土史研究奨励賞を受賞(『Wikipedia』)。東京都下の市役所に勤務しながら、武田氏を中心とした歴史を研究される在野の歴史家。日本作家クラブ会員、歴史研究家。『真説・智謀の一族 真田三代『真説・川中島合戦』など。

本書は、宿場・峠道の要塞、村人の城、境目の城、「忍び」の情報収集基地―上杉氏vs徳川氏・最上氏の戦場跡に残された城塞・防衛網の実態を3年に及ぶフィールド調査で解明した画期的な成果。再現図版38点掲載。 というもの。

慶長五年(1600)、徳川家康が関ケ原で勝利をおさめるに当たり、北関東・東北で繰り広げられたという上杉氏、最上氏らの攻防戦。これに関連した城砦を紹介されている。

著者両氏ともに中世史・中世城郭の専門家だけあって、非常に興味深い一冊になっている。
日光街道(会津西街道)、白河街道、山形県、栃木県那須地方などを徹底的にフィールドワークして、そこに存在した城砦を分析されている。また、塁、関、隘路、集落などの、要害化された遺構・史跡も盛り込まれている。

その内容は、目を見張るものがあって、これまで山城などを画一的にしか観察してこなかった小生には、とても斬新なものである。読み応えも十分で、城郭研究の最前線を瞥見できる一冊であった。

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城と古戦場