『賤ヶ岳の戦い』
-戦史ドキュメント-
高柳光壽(高柳光寿) 著 |
学習研究社 刊 |
1955年(昭和30年) |
評 価 |
著者は、戦国史研究の権威であった。 その研究は、極めて実証的で、予断を持たず、数多くの史料を冷静に分析される。博士の打ち出された新説の多くは、当時は画期的なものだったろうが、現在は通説になっている。 高柳氏の『戦国戦記』シリーズの一冊である。他に本能寺の変、長篠の戦、三方ヶ原の戦いが出版されている。(いずれも必読の名著である。) 本書は天正十年(1582)本能寺の変で織田信長が斃れ、山崎の合戦で明智光秀で横死し、その後の覇権を柴田勝家と羽柴秀吉が争った際、翌十一年(1583)近江国から越前国への隘路である北国街道上で行われた合戦を仔細に記述したもの。 例にもれず、大量の史料を駆使し、実証的に分析が行われている。 賤ヶ岳の戦いの合戦、布陣などを詳細に検討・分析した最初のものであろう。 ともかく、現在でも賤ヶ岳の戦いについては、本書を読めば、それを知悉することができるし、本書を超える文献は未だに無いと言ってよいだろう。 著者曰く、 |