『戦国大名の日常生活
信虎・信玄・勝頼

 

笹本 正治 著

講談社選書メチエ 刊

2000年5月10日(初版)
268ページ 1,700円

評 価
★★★

著者は、1951年山梨県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程前期修了。信州大学人文学部教授。博士(歴史学)。著書に『中世的世界から近世的世界へ』『戦国大名武田氏の研究』『軍師 山本勘助』『村上義清と信濃村上氏など。

本書は、”勝つことを宿命づけられた存在。それが戦国大名だった。利益しだいですぐ離反する家臣。地域エゴむき出しの領民…。国を治め天下を望む以前に、彼らの欲望をみたすのが先決の、薄氷を踏むような日々。合戦からは見えない赤裸々な姿を、甲斐武田家三代を通して活写する。
武田家の三人の当主、信虎、信玄、勝頼がいかなる過程を経て家を継ぎ、戦いに勝利したのかを確認するとともに、統治者としての側面、家族との関係、日々の暮らし、そして、武田家の滅亡などについて解説する。”
というもの。

甲斐武田氏研究の第一人者が、信虎・信玄・勝頼の関して、様々な角度から、その生き様を描いている。

特に好意を持てるのが、しっかりとした史料に基づいた記述になっており、信頼の置ける内容であるという点。『甲陽軍鑑』も採用できる箇所が多々あることが読み取れる。

体系的に整理された事典とは言い難いが、読み物としては大変面白い一冊である。

著者曰く、
「戦国大名があれだけ神経を使って領国統治を行い、戦争を行ってきて、最終的にどれだけの利益が得られたのか、心の平安はどうだったのかを考えると、私は職業として戦国大名を選びたいとは決して思わない。」

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