『日本城郭大系』

 

児玉幸多・坪井清足 監修
平井聖・村井益男・村田修三 編集

新人物往来社 刊

昭和54年頃

評 価
★★★★★

日本城郭全集』に続く城郭研究の集大成。

全十八巻(別巻二冊もあり)から成り、日本全国の城・砦・館を網羅した専門書・学術書。
県ごとに編集され、それぞれの地域の城砦館が体系的に整理されているもので、今でも本書を超える大成的城郭本は出版されていない。

古文書・史料の引用、写真・概念図の掲載も豊富で、その後現在までの城郭研究の基礎となるべきもので、本書が与えた影響はとても大きいだろう。
また、城郭以外の歴史書においても本書を引用するものは多い。

惜しむらくは、刊行されてから日数が経っており、記事に古いものが散見されることである。ぜひとも新刊が出されることを期待する。

それでも本書はぜひとも入手したい城郭本である。すでに絶版になっているが、古書の流通は豊富で、古書店やネットで探せば比較的容易に購入できる。

ただ、第8巻(長野・山梨)、第11巻(京都・滋賀・福井)、第12巻(大阪・兵庫)は、なぜか数が少なく、あまり目にすることはない。
特に第8巻(長野・山梨)は幻と言えるほど稀少で、ネットのオークションでも数万円で売買されている。

本書を読み、そして、『日本城郭大系』にも載っていない城砦を知りたくなったら、それはもはや完全な研究家の域に入ったと評すべきものである。

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