『小田原合戦』

 

相田二郎 著

名著出版 刊

昭和13年3月30日脱稿
『大日本戦史』(昭和17年)所収

復刊 昭和52年1月15日(3版) 780円
176ページ

評 価
★★★

著者は、杉山博氏〔1918年(大正7)神奈川県生。國學院大卒。東京大学史料編纂所教授、駒沢大学教授を歴任。88年没〕によれば、”古文書学の泰斗”であったという。

もとは、高柳光壽編『大日本戦史』(昭和17年)で発表されたもので、その後、小田原文庫が復刊させたものである。

東大史料編纂所に勤めておられただけあって、多数の史料を用いた歴史書に仕上がっている。また、史料の取捨選択もされており、その真偽についても触れられている。
論文としてのボリュームは多くないが、これで一通りの小田原合戦を理解することはできよう。

古い書だけに、人口に膾炙した内容も見られるが、しっかりと学術的に書かれており、好著である。

著者は小田原合戦について、次のようにまとめている。
「ようするに小田原役は、これによって、秀吉の全国平定という大事業が完成すると同時に、戦国時代における群雄四方に割拠した情勢が、ことごとく打破せられて、海内まったく一に帰するに至った、まことに意義深い歴史事象と申すべきものである。」

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