『真説 関ヶ原合戦』

 

桐野 作人 著

学習研究社 刊
278ページ

2000年9月13日(初版) 570

評 価
★★

著者は1954年、鹿児島県に生まれ。歴史作家。「豊富な資料に裏打ちされた鋭い視点で、硬直した史実の影に埋もれた歴史の真実を見つめなおし、新たなる発見に挑む。」
主な著書に、『
真説 本能寺の変』『破三国志』『反太閤記』『乾坤関ヶ原』『孤高の将軍徳川慶喜』『織田武神伝』など多数。

本書は、関ヶ原合戦には実に謎が多い。後年、ドイツの軍事顧問メッケル少佐は、両軍の布陣を一目見て西軍の勝利を断言した。圧倒的優位の西軍がなぜ敗れたのか。小早川は関白の位をけってまでなぜ裏切ったのか。毛利、島津はなぜ戦闘に参加しなかったのか。気鋭の歴史作家が、関ヶ原の謎に迫る。関ヶ原合戦ガイドマップ付き。”というもの。

真説 本能寺の変』が素晴らしい書だったので、その前著ともいえる同書を購入・通読した。

しかし、期待に答えるものではなかった。

確かに史料に基づいて実証的に研究されているが、関ヶ原合戦を網羅しているとは言い難く、著者の関心のあるところ、そして一般受けしそうな題材に絞って記述されている。
本書で採り上げられている「島津の退き口」などは、大変興味のあるところだが、これに多くの文面を割くよりも、もっと記すべきことはたくさんあると感じてしまう。

これでは、関ヶ原の戦いを総括的に知ろうとするには、ちょっと無理があるだろう。

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