『武田信玄合戦記』

 

坂本徳一 著

吉川弘文館 刊
239ページ

昭和50年7月15日(初版)

評 価
★★

 

著者は、大正15年仙台市生まれ。旧制目黒無線高工卒。新聞記者生活27年。山梨日日新聞社文化部長を経て、同社東京支社編集部長。大衆文学研究会会員、山梨郷土研究会会員。

本書は、武田信玄の特に戦歴に絞って、その通史を書いたもの。蛇足的に勝頼の長篠合戦や高遠合戦、田野合戦などにも触れ、また信玄の重臣の略歴も載せている。

基本的には、学術的な書き振りなのだが、あまり史料を峻別することなく、軍記物も積極的に採用している。また、出典の明記が乏しい点は残念である。

それでも他書に見られない合戦の記述や、新聞記者の経歴を生かした読みやすい文章など、一読の価値は否定できないだろう。

著者曰く
私は仕事柄、新史実を追い求めた。だが、はずむ思いで私をこの取材にかり立てたのは、少年のころに読んだ「神洲天馬峡」以来、大切に膨らませてきた「武田信玄合戦記」のロマンである。やっと念願が達し得たよろこびをかみしめている。

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