『定本 武田信玄』

 

磯貝正義 著

新人物往来社 刊
382ページ

昭和52年1月10日(初版)
1800円(7刷)

評 価
★★★★

 

著者は、武田家研究の大家。1912年岐阜県生まれ。1936年東京大学文学部国史学科卒。文部省勤務を経て山梨大学教授、同教育学部長を歴任。同大学名誉教授。

同書は、甲斐武田氏の由来、武田信虎の叙述を経て、信玄についてその事象を詳細に記載されている。
信玄の政治に関する記載は少なく、その多くが彼の戦歴・武略に関するものである。専門書らしく史料を丁寧に選別し、また明記している。幅広い史料がまとめられており、この点、信玄の通史を知るにはもってこいの一冊である。

信玄に関しては、本書を基本書とし、それ以外の事跡は他書で補充するのが良いと思われる。
ともかく、奇抜な記載はなく、きっちりとした歴史書である。

著者曰く
かれにも敗戦もあれば失敗も苛政もあった。無条件に仁政家であったという評価には従えないが、苛酷な戦国の世に生き抜き、諸々の悪条件や困難を克服して封建的支配の確立に努めた信玄を、すぐれた軍政家・民政家と呼ぶことに異存はないであろう。

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