『中世を道から読む』
齋藤 慎一 著 |
講談社現代新書 刊 |
2010年2月10日(初版) |
評 価 |
著者は、昭和36年東京都生まれ。明治大学卒、史学博士。東京都歴史文化財団江戸博物館学芸員。著書に『戦国時代の終焉』『中世東国の領域と城館』ほか。 本書は、乱世を生き抜かんとする武将たちの最大の敵、それは自然現象と道路事情だった。積雪、河川の増水。交通を押さえる者が勝利をおさめる。知られざる中世の交通・兵站と情報網に迫る。積雪、河川の増水、険峻な峠…。交通を制する者だけが乱世の勝者となる!というもの。 前半は戦国時代の関東の交通状況を詳しく論説されている。豊富な事例を挙げられて、中世の「道」の重要性を説いている。 後半では鎌倉へ続く街道・鎌倉街道について論じられている。今とまったく異なる街道が鎌倉時代には存在しており、人々の様々な活動があったとのことである。 本書で、改めて交通の重要性というものを認識させられる。当然、街道には「関所」「切所」があったわけで、さらには城館などの監視施設も配備されている。 著者曰く |