『戦国武将の「政治力」』

 

瀧澤中 著

祥伝社 刊

2008年2月5日(初版)
252ページ 760円

評 価
★★★

著者瀧澤中(たきざわ・あたる)氏は 1965年、東京都生まれ。駒澤大学法学部上條末夫研究室卒。作家・政治史研究家。日本ペンクラブ会員。 著書に『日本の政治ニュースが面白いほどわかる本』『10倍の大国に日本はなぜ勝ったか』『政治の「なぜ?」は図で考えると面白い』『日本人の心を動かした政治家の名セリフ』『昭和を生きた新選組』『総理の品格』ほか多数。

本書は、過酷な時代を生き抜いた「政治的判断力」に学ぶ
戦国時代と言うと、人はすぐに「敵将のしゃれこうべで酒を呑む信長」、「草履取りの藤吉郎」等々、面白いが史実かどうか微妙なエピソードを思い浮かべる。そしてそのエピソードが、戦国時代を理解する基礎になっていたりする。小説を愉しむだけならばそれで良いのだが、しかし、それでは本当の歴史は見えて来ない。
時代を正しく認識することは、未来を正しく見据えることにつながる。戦国という、人間が生き残るにはあまりにも過酷な時代の中で、武将たちはどのような判断基準から自身の去就を決めたのか。文献だけでは見えて来ない、戦国大名たちの「政治的判断」を、現代の政治学の目を通して概観してみると、新たな戦国史が見えてくる。 というもの。

第1 天下取りの政治学――信長とそれ以前
2 秀吉の政治学
3 徳川家康の政治学
4 関ヶ原合戦の政治学
5 天下を取れなかった有力大名の政治学
6 戦国大名の生きざまから見た政治学

本書は、戦国時代を俯瞰し、これを現代政治とリンクさせて観ることで、武将たちの政治力を語るものである。
語られる戦国史は通説的なもので、本書によって何か新しい歴史が判明するものでは全くない。

しかし、政治史の専門家から見た、信長・秀吉・家康らの政治力の分析は、読み物としては、なかなか面白かった。
(筆者の論法・解釈には疑問のある箇所も散見されたが、今回それは捨象した。)

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