『聖徳太子』

人物叢書

坂本 太郎 著

吉川弘文館 刊

昭和54年12月12日(初版)
235ページ 1,995円

評 価
★★★

著者坂本太郎氏(1901年-1987年)は、静岡県出身。東京大学卒、東大史料編纂所長、東大教授、東大名誉教授・國學院大學名誉教授。文学博士。古代史の権威であった。

聖徳太子(574年2月7日-622年4月8日)は、飛鳥時代の皇族、政治家。推古天皇のもと、蘇我馬子と協調して政治を行い、国際的緊張のなかで遣隋使を派遣するなど大陸の進んだ文化や制度をとりいれて、冠位十二階や十七条憲法を定めるなど天皇を中心とした中央集権国家体制の確立を図った他、仏教を厚く信仰し興隆につとめた(『wikipedia』)。

聖徳太子の名を知らない日本人はいないであろう。しかしながら、何をして、どのような生涯を送った人物なのかは答えられない人が多いであろう。

本書は、古代史の重鎮であった著者が、コンパクトにまとめた聖徳太子伝。古代の人物にもかかわらず、それなりに史料が残されているようである。また概ね、『日本書紀』の記述を、是認・肯定されており、太子の業績を高く評価されている。とはいえ、伝説の域も多いらしく、正確な史実を見極めることはなかなか困難のようである。

私は全く古代史の知識を有しないため、知らない単語・人名が頻出しており、難解な書であったが、太子の入門書としては適していると言えるだろう。

著者曰く
聖徳太子のような不世出の偉人の伝記を書くことは、歴史家の悲しい宿命である。古くからまつわりついた伝説のジャングルの中から、一筋の真実の道を見つけ出すことは容易ではない。現代とは余りにも隔たった千四百年に近い昔の事実が、果たしてどうであったのか、的確につかむ自信は恐らく誰も持てないであろう。

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