『信州の山城』

 信濃史学会研究叢書3

信濃史学会・
小穴芳実 編

信毎書籍 刊

1993年5月22日(初版)
276ページ 2,500円

評 価
★★★

本書は前書『信濃の山城』(郷土出版社)に続く長野県の城砦の研究書であり、44城が収録されている。

山城の時代的分類立てと概観の項目を新たにのせて、縄張図や鳥瞰図によって城の防御構造を明らかにしている
長野県の全域について、それぞれ一般にはマイナーな山城が掲載されており、地元の研究者による精緻な説明文・縄張図が付されている。

体系的ではなく、信州の山城を網羅したものではないが、少なくとも本書に載っている城についてはかなり詳しく知ることができる。
また、特に真田氏の諸城に関しては、相当詳細な説明が施されている。

長野県の城砦に興味があれば、購入しても損は無い一冊である。

編者曰く、
「一つの山城の機能を知るために縄張図を作成することは容易ではない。これを作成する最もよい時期は秋も遅くなった木々の葉の落ちた十一月か十二月の初め頃までの間で、一度ではその全容を把握することは困難であり、数度登山して行うのが常である。こうした数度の調査によっても山城の広いことや構造の複雑さがあって尚見落しや見誤りがあり完全な縄張図の作成は容易でないことは言うまでもない。従って今後何人かの手を経て漸次修正されて行かなければならないと思っている。」

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