『葛西城とその周辺』

 

葛飾区郷土と天文の博物館地域史フォーラム

たけしま出版 刊

2001年5月15日(初版)
255ページ 1,500円

評 価
★★★

本書は、「葛西城」をテーマに文献史学と考古学からの調査結果を提示。最新の葛西城の調査結果と葛西城が中世の地域社会に果たした役割を紹介する。平成8年に行われた「葛飾区郷土と天文の博物館地域史フォーラム」の記録集。 というもの。

東大史料編纂所教授の山田邦明氏、北区行政資料室の黒田基樹氏など東国中世史の専門家が平成8年12月1日開催のフォーラムで発表した内容が記録されている。(肩書きは当時のもの)

葛西城を中心として、東国の中世史・戦国史に言及されており、葛西城研究の集大成としていいだろう。
また、複雑で、何かと理解しにくい関東の中世史が判り易く述べられているのも有意義だ。

ちなみに東国中世史の研究で多出する『鎌倉大草紙』について、山田邦明氏は、「軍記というと内容が信頼できないようにも思えますが、この書物は総じて信頼の置ける記事が多い」とされている。

葛西城だけではなく、それを中心とした中世史を知るにはもってこいの一冊と言えるだろう。

 戻る

城と古戦場