『多摩の古城址』
小幡晋 著 |
武蔵野郷土史刊行会 刊 |
昭和53年2月20日(初版) 1000円 |
評 価 |
1907年鹿児島生まれで、満州国官吏を務め、その後ソビエトから帰国したという異色の経歴をもつ著者だが、その愛娘が東京都立川に嫁ぎ、毎年上京するたびに付近の古城を訪問したという。 したがって、かなり古い記録ということになろうが、相当にマイナーな城館(合計104箇所)も掲載されており、興味深い。 書きぶりとしては、城郭の専門書というよりは、紀行文といったほうが正確だろう。古城を訪問した時の気候や出会った人々の事なども記されている。 それぞれの古城には手書きの概念図が付されており、往時の面影を知るが、決して正確なものとは言い難い。 記事の出典史料は不明なものがほとんどで、城郭本としては参考程度にとどめ、読み物として所有するはいいかも知れない。 |