『多摩の古城址』

 

小幡晋 著

武蔵野郷土史刊行会 刊

昭和53年2月20日(初版) 1000円
280ページ

評 価
★★

1907年鹿児島生まれで、満州国官吏を務め、その後ソビエトから帰国したという異色の経歴をもつ著者だが、その愛娘が東京都立川に嫁ぎ、毎年上京するたびに付近の古城を訪問したという。

したがって、かなり古い記録ということになろうが、相当にマイナーな城館(合計104箇所)も掲載されており、興味深い。

書きぶりとしては、城郭の専門書というよりは、紀行文といったほうが正確だろう。古城を訪問した時の気候や出会った人々の事なども記されている。

それぞれの古城には手書きの概念図が付されており、往時の面影を知るが、決して正確なものとは言い難い。

記事の出典史料は不明なものがほとんどで、城郭本としては参考程度にとどめ、読み物として所有するはいいかも知れない。

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城と古戦場