『偽書『武功夜話』の研究』
藤本正行 鈴木眞哉 著 |
洋泉社 刊 |
2002年4月20日(初版) |
評 価 |
藤本正行氏は、1948年生。慶應大学卒。轄ハ陽代表取締役。千葉大、東京都立大非常勤講師を歴任。いわゆる正統派の学者ではないが、その研究は示唆に富み、画期的であり、戦国史を大きく変化させるほど価値のあるものばかりだ。 鈴木眞哉氏は、1936年生。中央大卒。防衛庁、神奈川県に勤務。「歴史常識」を問い直す研究を続け、著書に『信長は謀略で殺されたのか』など多数。 本書は、戦国時代の史料『武功夜話』について、その史料的価値を考察し、結果として後年に造られた偽書であると断定するもの。 『武功夜話』は、少し前の専門書では何の批判もなく採用され、また、そのドラマチックな内容が広く人口に膾炙し、それらが史実と信じられていたものであり、これらが虚実だと指摘する本書は、鮮烈な印象を残すだろう。 主だったところでは、「墨俣一夜城」をメインとする秀吉出世譚の多くは『太閤記』『武功夜話』等後年の史料に拠るものであり、それらは史実でないと指摘される。 そのような史料批判は、それを信じていた歴史愛好家にとっては残念な事実である。しかし、史実としての歴史を知るためには必要な作業である。 著者曰く、 |