『日本史の一級史料』

 

山本 博文  著

光文社新書 刊
218ページ

2006年5月20日(初版)
735円

評 価
★★★

著者は、1957年岡山県生まれ。東京大学文学部卒。東京大学院修了。文学博士。東京大学史料編纂所教授。著書に『切腹』『島津義弘の賭け』『武士と世間』など多数。

本書は、東大史料編纂所で教授を勤める一流の学者が、史料というものを通した歴史学について述べたもの。
江戸時代の史料に関する記載が中心だが、『細川家史料』『毛利家史料』『島津家史料』などの戦国時代と密接な関連のあるものも紹介されている。また、著者が史料と出遭った様子や史料の扱い方など、大変興味深い内容に満ちている。

一般的にはどうかと思うが、歴史学に関心があればとても面白い一冊だろう。

著者曰く、
「本書で言いたいことは、二つあります。一つは、歴史は過去に確かにあったことですが、現在、われわれが知りうる「歴史」というのは、史料から復元されたものであり、かつ史料からしか復元されえないものだということです。なので、史料が残っていない歴史について、われわれは何も語ることができません。もう一つは、歴史は「歴史家」というフィルターを通してしか描かれないということです。史料が残っていたとしても、それを読む歴史家によって、そこから描き出される歴史の姿は変わります。つまり、歴史を語るとき、史料とそれを読む歴史家の存在を無視することはできないのです。」

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城と古戦場