『武田信玄のすべて』

 

磯貝正義 編

新人物往来社 刊
304ページ

昭和53年2月15日(初版)
1500円

評 価
★★

 

編者は、武田家研究の大家。1912年岐阜県生まれ。1936年東京大学文学部国史学科卒。文部省勤務を経て山梨大学教授、同教育学部長を歴任。同大学名誉教授。

他にも、服部治則、佐藤八郎、上野晴朗、坂本徳一、野沢公次郎などの武田氏研究で知られた諸氏が共著に参加されている。

同書は、新人物往来社でシリーズ化されている「〜のすべて」の一冊。
このシリーズすべてに言えることだが、共著であるがゆえに、それぞれの研究・執筆スタイルに差異が見られる事、論文の寄せ集めのような形になり一貫した記述になりにくい事が難点として挙げられる。

記述も古いものが散見され、また軍記や伝承なども、一部、史料の批判なく掲載しているきらいがある。読み物としては面白いところも認めるが、武田信玄を知る基本書としては位置づけすることはできない。ボリュームに欠けるというのも率直な感想である。

編者曰く
「とにかく、信玄は一人の力では手に負えない偉大な存在である。そこで一つの試みとして、何人かの研究者が協力してそれぞれの項目を分担執筆して、全体として総合された信玄像を描き出して見ようということになった。本書はそうした意図で生まれた新しい企画である。」

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