『箱根をめぐる古城30選』

 

小田原城郭研究会 編

神奈川新聞社 刊

昭和62年9月30日(初版) 950円
358ページ

評 価
★★★

小田原城を中心とした周囲の城郭を研究されている会。『日本城郭大系』の執筆者なども参加しており、学術的な活動をされている。

本書は、小田原周辺から静岡県に至るまで、箱根付近の主要な城砦30箇所を紹介されている。

内容的には、縄張図・概念図を挙げ、史料から歴史を説き、その他、実地踏査に基づいた遺構の分析や現状、訪問路などが載せられ、これを読めば、その城についてはひとまず知悉することができる。また、一般向けであり、読みやすく親切な仕上がりなのも好印象だ。

箱根地域のすべての城砦館を掲載できないのは、本の性格上、止むを得ない。休日を利用し、本書を片手にのんびりハイキングをするのに適しているか。

同会は、
「古城は近世の城郭とちがって、高い石垣や日に輝く白壁をもちません。そればかりか土塁や空堀の多くは、土に埋まり草におおわれ、発見するのも困難なほどです。ぜひとも適当なガイドブックが必要になりますが、これまでこの地方にはそれはありませんでした。(中略)この本が、この地方の古城をたずね歩くかたがたの案内書として役立ち、それが失われたこの地方の歴史の発見につながることを、私たちはひそかに念願しています。」
と述べられている。

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城と古戦場