『長篠の合戦
-虚像と実像のドキュメント-』
太向義明 著 |
山梨日日新聞社(山日ライブラリー) 刊 |
平成8年8月18日(初版) 1200円 |
評 価 |
著者は、昭和37年東京生まれ。日大法学部卒。会社員ながら武田氏研究会や山梨郷土研究会等に所属、武田氏研究など積極的に論文を発表されている。 本書は、長篠の合戦のイメージが本当に「実像」なのかを問うもの。近年、長篠合戦は、その鉄砲の数を含めて再研究華々しいが、史料を丹念に追い、正真正銘の歴史学として書かれている真摯な一冊である。 長篠合戦が記述されている史料のほとんどすべてを検証し、何に何が書かれているのか綿密に整理し、また明記し、そして著者なりの見解を述べられている。その内容は極めて冷静で、軍記物の類を排除した、真実の長篠合戦が見えてくる。 そういった意味で、一般向けではないが、史実を探求する者にとっては、実に読み応え十分で、有り難い作品である。 その史実とは、我々の常識を覆すものである。 武田氏ファンしては受け入れ難いものもあるが、これが史実なのである。 著者はいう、 |